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がんは、悪性細胞が無秩序に
増殖しヒトを死に至らしめる恐ろしい病気です。

胃がんは
世界中でもっとも多く発症するヒトのがんです。

中でも日本人は胃がんの発症率・死亡
率がきわめて高く、
我が国では年間10万人が新たに胃がんと診断され、
5万人が毎年
胃がんで命を落としています(女性は1位)。

したがって
胃がんは日本人にとってもっとも身近で
深刻ながんであると言えます。

ここ数年の研究
から、胃がんの発症にヘリコバクタ─・ピロリ菌
(以下、ピロリ菌と略します)感染が
決定的に重要な役割を担うことが
明らかとなってきました。

ピロリ菌は胃という
強い酸性環境下で生き延びるための特異な能力
を獲得しています。

驚くべきことに、
ピロリ菌は世界人口の約半数に感染しており、
我が国でも約6000万人が
ピロリ菌保菌者と推察されています。

特に50歳以上の年令
層では感染率は80%─90%以上にもなります。

ピロリ菌は幼少期に保菌者である母
親(ないし父親)から経口感染すると
考えられていますが、感染経路はまだ完全に解明
されているわけではありません。

ピロリ菌感染は慢性胃炎や消化性潰瘍を引き起こします。

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さらに最近の大規模な疫学調査から、
胃がんはピロリ菌感染を基盤に発症してくる
ことが明らかになってきました。

動物実験でも、スナネズミの胃にピロリ菌を
感染させると胃がんができます。
日本人に胃がんが多い理由は

おそらく単一ではありません。

胃がんになりやすい民族的な遺伝的素因の存在、
日本人独特の食生活(高塩食)
などの関与は想像に難くありません。

一方、cagA遺伝子の解析から、
日本人に感染しているピロリ菌が保有する
CagAタンパク質は、日本にくらべて
胃がんがはるかに少ない欧米諸国に
蔓延しているピロリ菌が保有するCagAに比べて、

胃の細胞内シグナルネットワークをより
激しく撹乱する能力を有していることが
わかってきました。すなわち、
日本人に蔓延するピロリ菌はより
胃がんを引き起こしやすい悪玉ピロリ菌であり、
これが我が国における胃がんの多発と
密接に関連していると考えられます。
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